2007年01月07日

本読み終わった。

 親父にすすめられて、『フィールド 響き合う生命・意識・宇宙』(著:リン・マクタガード 訳:野中浩一)を読む。

 従来の量子論ではスルーされがちだったゼロ・ポイント・フィールドに目をむけることで、これまで「非科学的」と言われてきた様々な事柄を「科学的に」説明できる。手塚治虫が『火の鳥』で描いたような、ちょっとその辺に意識を向けたことのある人なら直感的にそうだとわかっていることに対して論理的な骨組みを与えてくれるような本。なかなかに刺激的でした。

 夜。家族にメシをおごる。何しろ我が家で労働者は私しかいないんだ。自分の稼いだカネで美味いもん食べて酒を飲む、と言えば聞こえはいいけれども、私が果たしてこのおカネ様に相応しい人間なのか?という点には未だに疑問が残る。

 さらに夜。触発されて、スピリチュアルな儀式を執り行う。気分が大事。

 やるべきことはいっぱいあるんだなぁ。でも果たしてその内のどれだけが本当に必要なことなんだろう、なんて考え出すと何も出来なくなるんですよ。だから、面白そうなところだけつまみ食いするんで、それでいいんじゃないかと思います。そんなこんなで今自分に足りないモノはきっと人付き合いだと思うんで、明日は旧友と飲みに行ってきます。

 あ、そういえばジャンプ出てた。今から読む。

投稿者 yosim : 00:18 | コメント (0) | トラックバック

2006年03月17日

『ウェブ進化論』を読んで。

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 読んだからにはブログに書かなければならないだろう。『ウェブ進化論』だし。

 というわけで、何かと話題になっている梅田さんの本を読みました。率直に言えばおもしろかった。久しぶりに付箋をベタベタ貼りたいと思う本でした。

 去年末に読んだ本で、『視覚的人間』という本がある。映画が「映画1.0」から「映画2.0」に移り変わろうとしている時代に書かれた本で、著者が当時の映像と触れ合う中で感じた率直な感動や興奮が綴られている。これは初出が1920年代なんだけど、変動の時代だから見えたであろう映像の本質的な部分が描かれていて、今読んでもぐっとくるものがある。『ウェブ進化論』は、インターネットにおける『視覚的人間』になるんじゃないかな、と思った。

 中身は色々な人が書いているし読むのが一番なので割愛するとして、自分自身との関わりにおいて多少書き残しておく。

 まず、最近身の回りの人たちが頻繁に発する「Web2.0」という言葉の意味とその影響力がやっと腑に落ちた。それとの関連でAPIがなにかもやっと分った。ネット以前と以後ほどの変化ではないが、Web2.0はネットがもたらす変化のより本質に迫るものだな、というのがかなり実感として湧いてきた。梅田さんがいうように、これからの10年で景色はがらりと変わるだろう。

 そんなオモシロい10年、20年がはじまると同時に社会人になれるラッキーな自分たちの世代なわけだが、その中でどう行動していくか?ということを非常に考えさせられた。

 私は「個」と、個が共振した時に生まれるエネルギーのもの凄さに興味があるので、オープンソースを現実世界に落としこむ時の難しさの話なんか一番ひっかかったというか、武者震い的なものを感じた。

 一応4月から「人が集まって知的付加価値を生産する場」(と自分では思ってる)に関わる仕事に就くわけなんだけど、インターネット的思考がより深く根付いてくればくるほど、物理的人が集まる場所やそこで使われる道具をいかにデザインしていくかだけではなく、人間の「考え方」とそこから出てくる「行動そのもの」をどのように演出していくかという話になってくる。

 これは細かいアイディアはあっても全く答えが見えない問題で非常におもしろい。

 もう一つおもしろかったのは世代交代の話。10代のときに感動したやつらが、その「時代」を引っ張っていくんだ、というくだり。こないだ研究室の同級生であるうすいくんとも話したんだけど、そう考えるとうちらの世代ってホントに「端境期」("はざかいき"ってこういう漢字なのか)なんだよね。

 うちらよりもう少し上の人だと、家でネットが出来る感動みたいなのを明確に覚えていて、自分たちが引っ張っていくんだっていう誇りと使命感みたいなものがある。ちょっと下になると、もうそれがアタリマエで空気や水があるみたいにネットがあったって言う世代。

 私はネットの凄さに感動できた世代の最後の最後ぐらいだと思う。だから先頭に立って引っ張っていこう、というほどのエネルギーはないけど、かといって自分より若い人たちみたいにアタリマエとも思えない。「そう考えると、うちらの世代って将来的に中間管理職になる人超一杯出るよね」が先日の結論。

 つまり私らには「橋渡し役」が運命付けられているんじゃないか、と思うのです。

 『ウェブ進化論』にもあるように、結局オープンソースがいかにおもしろくてもそれじゃ食っていけないのが現状だし、デカイことをやろうと思えば既存の組織の力を借りないといけない。でも、会社で偉くなってる世代とこれからの世代だと良い悪いじゃなく住んでる世界というか、頭の構造が全く違う。だからお互いにその気はあってもなかなかコミュニケーションが取れない。私たちは、そこの橋渡しをしてこれからの人たちが思い切りできる環境を整えるのが仕事だなあ、と、結局使命感を強く感じるのはそこなのよね。

 ただの情報伝達係になったらオモシロくはないが、バイセクシャルで両方と寝れると考えれば一粒で二度オイシイではないか。そう考えると喜んでその辺の運命を受け入れてやろうと思ったね。

 Web2.0とは関係ないが、

世の中に、優秀な人というのは想像以上にたくさんいるものだが、不思議な人間的魅力を伴う「器の大きさ」と「動物的強さ」を併せ持つ個性に出会うことは滅多にない。(p.240)

 というところに妙に納得してしまった。

 「あっち側」もイイですが、生物としての本質も忘れてはいけません。

梅田望夫 『ウェブ進化論』 筑摩書房 2006年

投稿者 yosim : 23:26 | コメント (0) | トラックバック

2006年01月05日

『ビロードの爪』 2006 no.01

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『ビロードの爪』 著:ガードナー 訳:田中西二郎

 新年一冊目はミステリー。刑事弁護士ペリィ・メイスンが初めて登場する有名な本で、この作品でガードナーは人気作家としての地位を確固たるものにしたらしい。

 ストーリーは最後まで二転三転で予測がつかない。美人秘書がいい感じ。

投稿者 yosim : 19:14 | コメント (0) | トラックバック

2006年01月01日

昨年の読書。

 一応一通りリストにしておく。去年の読書でメモに残っているのが12冊ということを考えると目標に届かなかったとはいえまあまあじゃないだろうか。

ちなみに、去年もっとも印象に残った本は

『世界は音 ナーダ・ブラフマー』著:J.F.べーレント 訳:大島かおり
 自分自身のモノゴトのとらえ方や価値観に影響が大きかったと言う点で間違いなくナンバーワン。自分がいかに視覚偏重の文化にどっぷりつかっているかを思い知らされ、本当の身体感覚とは何かかなり考えさせられた。

文庫/新書部門のナンバーワンは


『努力論』
著:幸田露伴

 アタリマエのことを完璧にこなせるようになることが何より大事、という禅的な思想と生き方に目覚めさせられた。社会人になるにあたって、座右の書にしたいと思う。

小説部門は、とても難しいがやっぱりコレかな。

『帽子収集狂事件』著:ジョン・ディクスン・カー
 ミステリーは舞台がイギリスのものに限る。この人のは、外から見たイギリスでもなく、内から見たイギリスでもない、微妙な感覚が私自身の経験と重なる部分がありスッと世界に入れる。なによりフェル博士の自由でお茶目なキャラクターとウィットのきいた会話がたまらない。コレを読んで「ああーこういうの本格ミステリーって言うんだなー」と思ってもらってかまわない本だ。


 全ての本の一覧はこの後につけとく。こうしてみると最近は次第に東洋的なものの方を強く信じるようになってきてるのがわかる。でも西洋が嫌いなわけじゃなくて、思索的な東洋が西洋と出会うことで手に取れるものになるってところに自分の仕事があるんじゃないかと思ってる。

01.『意味と生命』著:栗本慎一郎
02.『ドグラマグラ 上・下』著:夢野久作
03.『朝の読書が奇跡を生んだ』編:船橋学園読書教育研究会
04.『自分の中に毒を持て』著:岡本太郎
05.『中国古代の文化』著:白川静
06.『密室殺人傑作選』著:ハンス・ステファン サンテッスン 訳:山本俊子
07.『哲学の現在』著:中村雄二郎
08.『死体が多すぎる』著:エリス ピーターズ 訳:大出健
09.『不思議の国のアリス』著:ルイス・キャロル
10.『述語集』著:中村雄二郎
11.『言葉と無意識』著:丸山圭三郎
12.『目には見えない何か』著:パトリシア・ハイスミス
13.『モンガイカンの美術館』著:南伸坊
14.『仙人の壷』著:南伸坊
15.『笑う写真』著:南伸坊
16.『史上最強のリーダー シャクルトン』著:マーゴ・モレル ステファニー・キャパレル
17.『エンデと語る 作品・半生・世界観』著:子安美知子
18.『キヤノン高収益復活の秘密』編:日本経済新聞社
19.『シャープを創った男:早川徳次伝』著:平野隆彰
20.『戦略的組織革新:シャープ・ソニー・松下電器の比較』著:河合忠彦
21.『「書く」ということ』著:石川九楊
22.『帽子収集狂事件』著:ジョン・ディクスン・カー
23.『第三の銃弾』著:カーター・ディクスン
24.『湖中の女』著:レイモンド・チャンドラー
25.『待っている』著:レイモンド・チャンドラー
26.『ブンとフン』著:井上ひさし
27.『モモ』著:ミヒャエル・エンデ
28.『鏡の中の鏡』著:ミヒャエル・エンデ
29.『発狂した宇宙』著:フレドリック・ブラウン
30.『偽原子人』著:井上ひさし
31.『道元の冒険』著:井上ひさし
32.『サハラ幻想行』著:森本哲郎
33.『遥かなるケンブリッジ』著:藤原正彦
34.『11ぴきの猫』著:井上ひさし
35.『宮大工棟梁 西岡常一 「口伝」の重み』著:西岡常一
36.『世界は音 ナーダ・ブラフマー』著:J.F.べーレント 訳:大島かおり
37.『人間へのはるかな旅』著:森本哲郎
38.『ブランド・リーダーシップ』著:デービッド A.アーカー 訳:阿久津聡
39.『自分を活かす"気"の思想 幸田露伴「努力論」に学ぶ』著:中野幸次
40.『努力論』著:幸田露伴
41.『アラブ人の知恵の泉 策略の書』
42.『日本音楽のちから―次世代に伝えたい古くて新しい音の世界』編:現代邦楽研究所
43.『短歌をよむ』著:俵万智
44.『文章を書く技術』著:平井昌夫
45.『さおだけ屋はなぜつぶれないのか』著:山田真哉
46.『視覚的人間 ―映画のドラマツルギー―』著:ベラ・バラージュ
47.『メッカ イスラームの都市社会』著:後藤明
48.『日本の弓術』著:オイゲン・へリゲル 訳:柴田治三郎

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2005年07月15日

『帽子収集狂事件』J.D.カー

 ミステリーが好きで、その歴史をさかのぼってみようと思ったことのある人ならジョン・ディクスン・カーは間違いなくどっかでぶつかったことのある名前じゃないかしら。といっても私の周りにはそんな人いたためしがないが。もったいない。

 そんなわけなので、以降はややマニアックな内容になっております。

 といいつつこのわたしもカーに関しては短編を一つ読んだきりだったんだけど、初めて長編を読んでこの作家の持ち味は長編でこそ活かされるもんだったんだなあとしみじみ感じているところです。

 カー自身はアメリカ人なんだけど、舞台はイギリスのロンドン。しかも観光地として超有名なロンドン塔。解説にもあるとおり、ミステリ作家なら誰でも一度はネタにしてストーリーを考えたことがあるはずの場所だ。この話は渡英後あまり間をおかずに書かれたものらしいけど、そのおかげかロンドンという街の持つ独特の雰囲気が新鮮な筆致で描かれてるなあと思った。

 ストーリーに関しては、これから読むかもしれない人の楽しみを奪ってはあまりにも無粋というものなので黙っておくとして、わたしが何よりも気に入ってしまったのはその言葉のセンス。

 カーは正統派ミステリ作家らしく相当博識な人であったらしい。そんな人がそれをさらりと包み隠して、ユーモアだの風刺だのをかまそうものなら、わたしにしてみればまさにヨダレがとまりませんというやつですよ。わたしは古典的ミステリを読んでいてこんなに吹き出したことは今だかつてない。主人公のフェル博士とハドリー警部の会話のやりとりがたまりません。博士がハドリーのフリをして自白させようとするトコとか、ハドリーがソクラテス式問答に不平を並べ立てるトコとか。

 そもそも作品のテーマ自体、エドガー・アラン・ポーの未発表原稿の盗難事件とか、不思議の国のアリスの「帽子狂」Mad Hatterから来てたりとか、いかにもミステリファンの好みそうな象徴がコレでもかと盛り込まれたサービス精神のカタマリのようなものなんです。

 今の日本に住む人たちが読んでももちろん十分面白いと思うけど、さらに作品全体の空気感をイギリスに昔住んでいたことで感じることが出来たんじならこいつは実にラッキーだったなぁ。と、多分わたし以外誰も共感してくれなさそうだが思わずアツく語ってしまった。

 ジョン・ディクスン・カー 『帽子収集狂事件』 集英社 1999年

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