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2006年03月17日
『ウェブ進化論』を読んで。
読んだからにはブログに書かなければならないだろう。『ウェブ進化論』だし。
というわけで、何かと話題になっている梅田さんの本を読みました。率直に言えばおもしろかった。久しぶりに付箋をベタベタ貼りたいと思う本でした。
去年末に読んだ本で、『視覚的人間』という本がある。映画が「映画1.0」から「映画2.0」に移り変わろうとしている時代に書かれた本で、著者が当時の映像と触れ合う中で感じた率直な感動や興奮が綴られている。これは初出が1920年代なんだけど、変動の時代だから見えたであろう映像の本質的な部分が描かれていて、今読んでもぐっとくるものがある。『ウェブ進化論』は、インターネットにおける『視覚的人間』になるんじゃないかな、と思った。
中身は色々な人が書いているし読むのが一番なので割愛するとして、自分自身との関わりにおいて多少書き残しておく。
まず、最近身の回りの人たちが頻繁に発する「Web2.0」という言葉の意味とその影響力がやっと腑に落ちた。それとの関連でAPIがなにかもやっと分った。ネット以前と以後ほどの変化ではないが、Web2.0はネットがもたらす変化のより本質に迫るものだな、というのがかなり実感として湧いてきた。梅田さんがいうように、これからの10年で景色はがらりと変わるだろう。
そんなオモシロい10年、20年がはじまると同時に社会人になれるラッキーな自分たちの世代なわけだが、その中でどう行動していくか?ということを非常に考えさせられた。
私は「個」と、個が共振した時に生まれるエネルギーのもの凄さに興味があるので、オープンソースを現実世界に落としこむ時の難しさの話なんか一番ひっかかったというか、武者震い的なものを感じた。
一応4月から「人が集まって知的付加価値を生産する場」(と自分では思ってる)に関わる仕事に就くわけなんだけど、インターネット的思考がより深く根付いてくればくるほど、物理的人が集まる場所やそこで使われる道具をいかにデザインしていくかだけではなく、人間の「考え方」とそこから出てくる「行動そのもの」をどのように演出していくかという話になってくる。
これは細かいアイディアはあっても全く答えが見えない問題で非常におもしろい。
もう一つおもしろかったのは世代交代の話。10代のときに感動したやつらが、その「時代」を引っ張っていくんだ、というくだり。こないだ研究室の同級生であるうすいくんとも話したんだけど、そう考えるとうちらの世代ってホントに「端境期」("はざかいき"ってこういう漢字なのか)なんだよね。
うちらよりもう少し上の人だと、家でネットが出来る感動みたいなのを明確に覚えていて、自分たちが引っ張っていくんだっていう誇りと使命感みたいなものがある。ちょっと下になると、もうそれがアタリマエで空気や水があるみたいにネットがあったって言う世代。
私はネットの凄さに感動できた世代の最後の最後ぐらいだと思う。だから先頭に立って引っ張っていこう、というほどのエネルギーはないけど、かといって自分より若い人たちみたいにアタリマエとも思えない。「そう考えると、うちらの世代って将来的に中間管理職になる人超一杯出るよね」が先日の結論。
つまり私らには「橋渡し役」が運命付けられているんじゃないか、と思うのです。
『ウェブ進化論』にもあるように、結局オープンソースがいかにおもしろくてもそれじゃ食っていけないのが現状だし、デカイことをやろうと思えば既存の組織の力を借りないといけない。でも、会社で偉くなってる世代とこれからの世代だと良い悪いじゃなく住んでる世界というか、頭の構造が全く違う。だからお互いにその気はあってもなかなかコミュニケーションが取れない。私たちは、そこの橋渡しをしてこれからの人たちが思い切りできる環境を整えるのが仕事だなあ、と、結局使命感を強く感じるのはそこなのよね。
ただの情報伝達係になったらオモシロくはないが、バイセクシャルで両方と寝れると考えれば一粒で二度オイシイではないか。そう考えると喜んでその辺の運命を受け入れてやろうと思ったね。
Web2.0とは関係ないが、
世の中に、優秀な人というのは想像以上にたくさんいるものだが、不思議な人間的魅力を伴う「器の大きさ」と「動物的強さ」を併せ持つ個性に出会うことは滅多にない。(p.240)
というところに妙に納得してしまった。
「あっち側」もイイですが、生物としての本質も忘れてはいけません。
投稿者 yosim : 2006年03月17日 23:26
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