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2004年02月14日

02.『聖なる幻想の宇宙 インド』 森本哲郎 他

 随分時間が空いてしまったけれど読書ログ"ヨンダホン"の二つ目です。
 
 これまでインドについて書かれた本、漫画、あるいは実際に旅行してきたという人の体験談というものに少ないながらも触れてきた私が、その少ない経験なりに感じるのは、私たちのような人々とインドとの出会いは決して穏やかなものではありえない、ということだ。

 そして、それは多くの場合熱狂か拒絶かのどちらかの場合で現れることが多い。あくまでも大まかにいってという話ではるのだけれど。とはいえ、この本に関してもこれはそこまで的外れの考えでもないんじゃないかと思う。

 そもそもこれはどういう本かというと、様々な人々のインドに関する文章をオムニバス的にまとめたものだ。インドという同じ対象について書いていても筆者ごとに結構色が違ってておもしろい。

 とはいえ、違っているとは言っても、私は案外それぞれのリアクションの根本の部分は案外似ているんじゃないかと思う。逆に言えば、インドというと私たちが普段持っている価値観とのあまりの違いにショックを受けると思われているけれども、そうではなくて根本的には同じ価値観に基づいている違う世界であるということにショックを受けるのではないか、ということなのだ。

 インドの人たちは、生まれたときから自分がこの世に何のために生まれたのかを知っている。比べて、近代市場主義社会に生まれた私たちは、その意味を一生かけて探らなくてはいけない。まあ、そうじゃないと言う人もいると思うけど、あたしは一応そう思う。だからこそ、私たちはそれを始めから手に入れている人たちを見ると、そしてそれが社会として成立しているのを見ると、心穏やかではいられなくなる。熱狂なり拒絶なり、なんらかのリアクションをとらなければいけなくなる。

 まあ、どこまで当たっているかは知らないけれど、そんなことを漠然と考えた。いずれにしろ、もっとインドについて知りたいなぁと私に思わせてくれた一冊には違いない。直接行く勇気は今のところない。


 責任編集:森本哲郎  綜合社  1986年

投稿者 yosim : 2004年02月14日 01:13

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