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2004年09月03日

『チャップリン自伝』上・下

 大昔から部屋の本棚に入っていたもののなんとなく手をつけてこなかった『チャップリン自伝』を、なぜか急に読む気になって読んでみた。多分最初の数ページぐらいは読んだことがあるはずなんだけど、そのときは最後まで行き着かなかったらしい。

 あたしは、実は今までチャップリンの作った映画を見たことが無い。特に避けてきたわけでもないから、機会に恵まれなかったんだろうな。そんな状態で自伝なんか読んだって、あんま面白くないだろうとおもわれるかもしれないけど、読み終わってみるとかえって一本も見ないで読んでよかったんじゃないかという気もする。

 ひとつには、見てから読む人の方が圧倒的に多いだろうということ。ケースバイケースとはいえ、あたしは基本的に少数派に入るのが好きらしい。多分目立ちたがり屋精神の表れだけど。もうひとつは、映画を見たことがないだけにチャップリンその人にかえって注目できたんじゃないかとおもうこと。先入観がない分本人の言ってることが「ああそうなんだろうな」とあっさり受け入れられるというか。まあ裏を返せば初めてチャップリン映画を見るときはもう先入観抜きには見られないということだが。それは作品を楽しむための前提知識ということにしておこう。

 しかし、いまさらあたしなんかが言うのも変な話だけど、チャップリンという人は本当に「本質」というものがなにかとても良くわかってる人だったんだなぁとおもう。決して明るいという時代に生きたわけではないのだけれど、常にそのときそのときの時代の本質を見抜き、それだけでも大層なことだがさらにそれを「笑い」に変えてしまうというのは、やはり凄い。逆に、バブルでうはうはみたいな時代だったら才能を活かしきれなかったかもしれないけどね。いずれにしろ、「笑い」を生み出すのは一番頭のいい人間だというあたしの考えはさらに強く裏付けられたわけだ。

 本というものは、なぜか読むべきときに読んでしまうものなのですね。

投稿者 yosim : 2004年09月03日 23:09

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